扁桃炎

扁桃には、口を開けるとのどの両側に見える口蓋扁桃のほかに、天井部分にある咽頭扁桃(アデノイド)や耳管扁桃、舌の根っこの部分にある舌根扁桃などがあります。
これら扁桃組織はのどの周りに輪状に配列し、呼吸とともに外界から侵入してくる細菌やウイルスなどの病原体の侵入を防ぐ役目をしています。
ところが、過労やストレスなどで免疫力が低下していると、病原体の感染力の方が扁桃組織による免疫力を上回り、扁桃そのものに炎症を起こしてしまいます。
これが急性扁桃炎と呼ばれる状態で、通常は口蓋扁桃の炎症を指しています。


扁桃炎を生じると咽頭痛のほか発熱や倦怠感、関節痛などが起こります。
扁桃は発赤して腫脹し、膿汁の分泌や膿栓の付着などが見られます。
ウイルス感染による扁桃炎の場合には数日で自然軽快するため、解熱鎮痛剤などによる対症療法が中心です。
ただしウイルスの種類によっては肝機能障害を伴う場合があるため、注意が必要です。
これに対し、細菌感染による扁桃炎の場合には抗生物質の内服が必要になります。
炎症が強い場合には抗生物質の点滴を行うこともあります。


注意しないといけない合併症として、炎症が扁桃を超えて周囲に拡がり、膿が溜まる扁桃周囲膿瘍があります。
症状は扁桃炎よりさらに激しく、唾液も飲めないほどの強い咽頭痛や開口障害のほか、扁桃の周りが強く腫脹するため、気道を閉塞して呼吸障害を来たしたり、膿が深頚部や胸部に拡がると大変危険な状態になります。
この場合は膿が溜まった部分を切開して排膿するとともに抗生物質の点滴による強力な治療が必要です。


炎症が慢性化した状態を慢性扁桃炎といい、扁桃炎症状を繰り返し起こすようになり、1年に4〜5回以上反復する場合を習慣性扁桃炎と呼んでいます。
また、特殊な形として、扁桃炎としての症状はほとんどないにもかかわらず、他の臓器に病気を引き起こす病巣感染症があります。
溶血性連鎖球菌の感染によるもので、腎臓や心臓、関節、皮膚などに重篤な障害を引き起こすことがあり、注意が必要です。


本来身体を守るはずの扁桃組織ですが、その炎症は時に日常生活に大きな影響を及ぼします。
特に習慣性扁桃炎や病巣感染症、扁桃周囲膿瘍を繰り返すような場合には手術が必要になります。
思わぬ合併症を来たす可能性もあるため風邪などによる咽頭炎とは区別しなくてはなりません。
このような症状を繰り返している場合には、一度耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。

治療について 治療について
ご予約は
こちらから
ご予約方法は
こちらから