鼻の構造とはたらき

皆さんは鼻の中がどのような構造をしているかご存知でしょうか?

鼻は単純な左右二つだけの空洞ではありません。私たちの顔面骨の中にはいわゆる鼻腔と、それを取り囲むように左右それぞれ上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞と呼ばれる4つの副鼻腔があり、いずれも鼻腔とつながっています。

では鼻はどのようなはたらきをしているのでしょうか?

私たちは普段、鼻について目や耳ほどその役割について意識することはありません。

けれど、鼻は私たちの身体を守る上で大切な役割を担っているのです。

鼻は呼吸器官の一部として身体の最も入り口に位置していますが、空気中から細菌、ウイルス、ホコリなどの異物が侵入すると、鼻甲介と呼ばれるひだの体積を増減させることによって鼻腔をふさいでブロックしたり、鼻汁を分泌やくしゃみをすることによって体外に排出したり、さらには粘液で包んで繊毛運動によって取り除きます。

また、鼻には空気を暖めたり加湿する大切な役割があります、例えば氷点下の空気や砂漠のような乾燥した空気がそのまま肺に達したら身体はひとたまりもありません。

外気温がたとえ何度であろうとも空気が鼻を通過するほんの一瞬のあいだに36℃近くに調節され、たとえどれだけ乾燥した空気であろうとも一瞬のうちに100%近くに加湿されます。

これほど高性能なエアコンディショナーや空気清浄機はほかにはありません。

鼻のこのようなはたらきによって私たちは氷点下や砂漠のような環境でも生きていけるのです。

誰でも一度は鼻がつまって息ができず、のどをやられてしまったという経験をお持ちだと思いますが、冷たい空気、乾燥した空気、ゴミや微生物を含んだ空気はのどから肺の粘膜にとって大変有害です。

咽頭炎や気管支炎、喘息発作などを反復する場合、もしかしたらそれは鼻のはたらきに問題があるのかもしれません。

副鼻腔は左右それぞれ上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞と呼ばれる4つの空洞からなり、鼻腔を通して外部と繋がる含気腔です.頭部はからだの10分の1の重さを占めていますが、副鼻腔があることによってその軽量化に役立ち、また、脳の冷却や声の共鳴のほか、鼻腔とともに空気の加温・加湿に関わっていると言われています。

鼻のもうひとつの大事な役割は嗅覚です。鼻の天井部には嗅裂という狭い隙間があり、においを感じる神経が分布しています。

野生動物にとって食べ物をさがしたり、外敵から身を守る上で嗅覚はなくてはならない感覚であり、もしもこれを失ってしまったら自然界では到底生きていくことはできません。

同様に自然界で暮らしていた頃の私たち人間の祖先にとっても嗅覚は大事な感覚のひとつであったと考えられます。

今でも人間の嗅覚は意外に敏感で、1万種類ものにおいを嗅ぎ分けられると言われています。

現代人にとって、腐ったものをかぎ分けたり、ガスのにおいを感知するといったこと以外に、生きていく上においては嗅覚は野生動物ほど大きな役割はないかもしれません。

けれど、生活の質という面ではその役割はますます大きくなっていると言えると思います。

鼻がつまると味が分からなくなり何を食べてもおいしくないものですが、嗅覚は味覚に密接に関わっているのです。

香りを楽しんだり、おいしいものを味わったり、豊かな生活を過ごす上で嗅覚はなくてはならないものです.

鼻は私たちの身体を守るために日夜休みなく働き続けています。目や耳同様、鼻を大事にしましょう!

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